フクロウ(猛禽類)のロストとは?
猛禽類が飛び立って迷子になってしまう事を「ロスト」と呼びます。
フクロウには帰巣本能がなく、自ら親元に帰ってくることは期待できません。
飼い主が自力で探す必要があります。
ペットとして猛禽類を飼育するなら、絶対に避けたい「ロスト」
過去にロスト経験のある筆者が、予防・対策からロスト時の対応まで含めて、詳しく解説いたします!
ペットフクロウをロストする危険性
ペットフクロウが野生に帰るのは難しい
飼育下のペットフクロウは、インプリント個体(人工飼育)です。野生化では生きていけません。
ペットフクロウは餌をいつも与えられている為、野生下で餌を獲る習性がありません。
餌無しでも生存できるおおよその期間
小型フクロウ | 数日程 |
中型フクロウ | 1週間程 |
大型フクロウ | 10日程 |
餓死や交通事故など、室内で飼育されていたペットフクロウにとっては考えもつかないような事が起こりうる可能性があります。
戻ってこない可能性
ペットフクロウは、訓練を受けていれば戻ってくる可能性もありますが、訓練なしに戻って来る事はできません。
フクロウは、飛んで遠くに逃げる事に十分可能な身体を持っています。
野外でフクロウを据え回しする時は、十分にロスト防止の対策をしておく必要があります。
天敵からの奇襲
ペットフクロウは、カラスやトビのターゲットにされます。
カラスやトビは集団で行動しているため、たとえ大型の猛禽類であっても、集団攻撃を受けたらひとたまりもありません。
小型種なら、命を落としてしまう可能性もあります。
在来種との遺伝子交雑
多くのペットフクロウは外来種です。
外来種をロストすると、在来種と交雑するリスクが発生します。
在来種と外来種との交雑が繰り返されると、生態系を崩してしまう事にも繋がります。
ペットフクロウのロスト|原因・対策
訓練中のロスト
- 野外でフリーフライト中に飛んでいったまま回収不能になってしまった場合。
しっかりとした訓練を行うのはもちろんですが、GPSを装着しておくのも効果的です。
万が一ロストしてしまった時も、居場所が分かるので自分で探すことが出来ます。
屋外に出した際のロスト
日光浴や据え回しなどで屋外に連れ出す際は、フクロウを野生に放つ一歩手前という危機感を持ちましょう。
ロスト対策
- 日光浴はフクロウだけで屋外に出さず、飼い主の目の届く場所で行う。
- 据え回しで屋外に連れ出す時は、リーシュはグローブのリングに結ぶ。
- 猛禽類の繋留具(ジェスやリーシュ)のチェックを日頃から行い、適切な時期に交換をする。
不注意によるロスト
飼い主の不注意でフクロウをロストしてしまうという事例もたくさんあります。
- 換気の為、窓を開けた瞬間に逃げてしまった
- 玄関の扉を開けた際に飛び出してしまった
フクロウの体は見た目より細いので、小さな隙間だから大丈夫と油断するのは危険です。
室内で放鳥する際も、細心の注意が必要です。
- フクロウの飼育スペースを確実に区切る
- 窓やドアを開ける際はフクロウを係留する
やりすぎじゃないかと思えるくらいの対策をしておいても問題はないです。
フクロウをロストした時の行動
飛んで行った方角を確認
どの方角へ飛んで行ったかを必ず確認してください。
飛んで行った方角などが分かっていると、初期の捜索範囲が絞れます。
フクロウは風に逆らって飛行するのが苦手です。
風向きを意識することが、フクロウを捕まえ方のヒントになります。慌てずに、落ち着いて行動しましょう。
警察署や保健所へ連絡・ロスト情報の拡散
警察署や保健所に届け出ましょう。
保護されて持ち込まれている場合があります。
ロストしたフクロウの情報を掲載したチラシを配ったり、SNSを使って情報を集めましょう。
情報発信時の掲載事項
- ロストした日時と場所 (住所)
- 飛んで行った方角
- フクロウの特徴(種類・大きさ・色)
- 写真を載せる場合は前と後の写真
- アンクレット・ジェス・リーシュの有無や特徴
情報発信時の注意事項
個人情報である名前・住所・電話番号などを載せすぎるのは危険があるので、必要最低限の情報にとどめましょう。
フクロウの足環(リングナンバー)の掲載は、飼い主になりすまして引き取る方もいる為、掲載しないことをお勧めします。
フクロウを捜索する
捜索は早いに越したことはありません。
フクロウは頻繁に飛ぶ鳥ではないので、同じ場所で何時間でもじっとしている事もできますが、大きな物音などにびっくりして飛んでいく可能性もあります。
捜索範囲は日数が経つほど範囲を広げ、友人やご近所の方にも捜索の協力をお願いしましょう。
夜明け前や日没直後など、少し暗くなってからの方が日中より活発な為見つかりやすい傾向にあります。
ロスト地点を中心にまんべんなく捜索し、カラスが集まっている場所などをも重点的に探しましょう。
潜んでいる可能性が高い場所
小型種 | 茂みの中や植込みの下、マンションのベランダなど、隠れる事ができる場所 |
大型種 | 木の上や電柱・屋根など比較的高く、安全に止まれそうな場所 |
小型種でも高い場所が好きなフクロウもいれば、大型種でも怪我や体力消耗などで飛ぶ事ができず、低い場所にいる事もあるので、注意が必要です。
発見した時は
フクロウは体力的・精神的に極限状態です。
発見した嬉しさから急に掛け寄ったり、大きな声で呼んでしまうとフクロウがパニックになり逃げる恐れがありますので、落ち着いて行動しましょう。
保護|生体点検
保護をした後はフクロウに怪我はないか、様子のおかしい所はないかなど、フクロウの健康状態を確認します。
見た目に異常がなかったとしても、念の為病院へ連れて行き、獣医師の指示を仰ぎましょう。
- 警察署など連絡を入れた場所へ、フクロウを保護した事を連絡。
- SNSなどで情報を拡散した場合は、拡散してくれた方へ投稿の削除依頼
- チラシを貼った場合は忘れずに回収
上記も忘れずに行いましょう!
猛禽類をロストしないために|まとめ
フクロウのロストは、飼い主が責任を持つことで防げる事が多いです。
ペットフクロウにとって、外の世界はとても怖いものです。
フクロウを飼育する際は、しっかりとした知識を身につけ、 最後まで一緒に過ごしてあげてくださいね!
この記事を書いた人
フクロウコンシェルジュ
- 40羽のフクロウと暮らす現役の飼育者
- フクロウが好きで仕方ない夫婦